1980年代にアメリカで初めて発見されたエイズ患者。
そのウイルスであるHIVは、いったいどこから人間社会へ現れたのでしょうか?
私が甥っ子の陽介に説明するのであなたもいっしょに聞いてください。
(甥っ子慎太郎)おじさん、HIVっていったいどこから来たの? |
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(私)慎太郎、それはまだハッキリとはしていないんだよ。 |
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(陽介)えー!まだ分かっていないんですか?
(私)そう、100%断定されるまでには至ってないんだ。
ただし、たぶんそうじゃないかという推測は多くの研究者が発表しているんだよ。
(陽介)それはどんな推測なんですか?
(私)現在もっとも有力とされているのは、アフリカでチンパンジーから人に感染したのではないかとされているんだ。
(陽介)アフリカですか?でも、一番最初のエイズ患者はアメリカで発見されたんでしょう?
アフリカとアメリカってえらく遠いと思うんですけど。
(私)その通りだね。1981年、アメリカで普通の人なら感染しない、免疫不全の人によく見られる感染症を発症した人が次々と見つかった。
これがエイズ患者の始まりとされている。
(陽介)それまでは全くエイズ患者はいなかったんですか?
(私)いや、たぶんそうではないと言われているよ。
アメリカで報告されたのが正式認定された患者というだけであって、それ以前にアフリカの色んなところでエイズらしき患者は見つかっているんだ。
また、アメリカで報告される10年くらい前にヨーロッパでも免疫不全による日和見感染症患者の記録が残っているんだよ。
しかもその患者のほとんどがアフリカと密接な関係があったらしい。
(陽介)うーん、そうなんですか。その当時はエイズとは呼ばれなかったんですね。
(私)そうだね。エイズという名前が付けられたのが1982年、HIVが発見されて確定したのが1984年だ。
だからそれ以前は「奇病」扱いだったんだろうね。「謎の感染症」だったかも知れない。
(陽介)でも、どうしてチンパンジーから人間に感染したんですか?
(私)それも色んな仮説、推測があるだけでハッキリとは分かっていなんだよ。
ただ、サルやチンパンジーなどに感染するSIVというウイルスが1985年に発見されて、これがHIVに非常に近いことが分かったんだ。
(陽介)SIVって何ですか?
(私)Simian Immuno-deficiency Virusの略で、日本語で言えば「サル免疫不全ウイルス」のことだよ。
(陽介)人間に対するHIVと同じなんですね?
(私)そうだよ。サルに後天的な免疫不全疾患を発症させるウイルスだ。
(陽介)じゃ、そのSIVが人間にも感染してHIVになったんですか?
(私)そう簡単じゃないよ。ウイルスの感染には「種の壁」というのがあって、どの動物にも感染するウイルスなんていない。
ウイルスが感染できる動物は決まっているんだ。SIVも元々は人間には感染しないウイルスなんだよ。
(陽介)それがどうして人間に感染したんですか?
(私)さっき言ったように突然変異で人間にも感染できるようになったと推測されているんだ。
(陽介)突然変異ですか。
(私)HIVというウイルスは容易に変異を繰り返すウイルスで、それが未だにワクチンが出来ない理由でもあるんだ。
(陽介)そんなに簡単に変異するんですか?
(私)そうだよ。ウイルスの遺伝子は人間の遺伝子みたいに完成度が高くないから、自分のコピーを作るときに元の情報とは違うウイルスが作られてしまうことがあるんだよ。
変な言い方だけど失敗作というか、出来損ないみたいな。
(陽介)人間でそんなことが起きたら大変ですね。
(私)そうだね。でも人間の体でも新しく生まれる細胞に異常があって、それが大きくなってがん細胞になることがあるんだよ。
まぁ、ほとんどは免疫細胞が攻撃してがん細胞にまでならないけどね。
(陽介)そうなんですか。人間でもあるんですね。
(私)そうだよ。でもウイルスの場合は別に失敗作が生まれようと、どんな変異をしようと全くおかまいなしだからね。
どんどん自分のコピーを作ることだけに専念してるってわけだ。
(陽介)それじゃHIVはSIVが突然変異してできたウイルスなんですか?
(私)今のところその説が有力とされているね。
サルやチンパンジーの体内にいたSIVが何かのきっかけで人間の体内に入り、そこで突然変異を起こして人間にも感染できるようになってしまったと考えられているんだ。
(陽介)何かのきっかけとはどんなことですか?
(私)陽介のその質問に関して、おじさんが最近読んだ本に興味深い記事があったよ。
「エマージングウイルス」という本なんだけど、その中に「チンパンジーはどこでエイズに感染したのか?」という章があってね。
チンパンジーやサルから人間への感染について推測が書かれてある。
(陽介)どんなことが書かれているんですか?
(私)例えばこんなことだよ。アフリカでは多くの密林、ジャングルが人間によって開拓されていった。
これは環境破壊の問題として陽介も聞いたことがあるだろう?
(陽介)はい、あります。
(私)そうした密林の開拓には多くの人間がそれまで入ったこともないようなジャングルの奥地にも入っていくね。
そしてそこで長い期間住み着いて工事を行うことになる。
(陽介)そうですね。交通の便もないし、ホテルもないですよね。
(私)そうだよ。食料だって十分にはない場合もある。そこでは現地で動物を捕まえて食料にすることが珍しくない。
今まで人間社会とは全く接点がなかった動物が人間と緊密に接触することになる。
(陽介)なるほど。当然、動物から人間への感染の機会も増える訳ですね。
(私)そうだよ。直接食べたりしなくても血液や唾液、あるいは排泄物などからもウイルスは感染するからね。
(陽介)うーん、そうやってSIVが人間に入り込み、HIVへと変異したんですか。
(私)今のところその説が有力とされているね。
ただ、SIVにも種類があって、チンパンジーに感染するSIVから変異したものがHIV-1、スーティーマンガベイというサルに感染するSIVから変異したものがHIV-2と言われているんだよ。
(陽介)ふーん・・・そうなんですか。それじゃ、HIVは人間だけじゃなく、サルやチンパンジーにも感染するんですか?
(私)あ~、いい質問だね。実は感染するんだよ。
(陽介)えーー!!HIVって人間だけじゃないんですか!
(私)チンパンジーや一部のサルには感染する。ただし、人間と違って免疫不全で病気になることはないんだ。
(陽介)うーん、それも不思議ですね。サルやチンパンジーは病気にはならないんですか。
(私)そうだよ。まぁ不思議としか言いようがないけど実際そうなんだ。それ以上の詳しいことはおじさんにも分からない。
(陽介)とにかく、HIVはサルやチンパンジーに免疫不全を起こすウイルス、SIVが突然変異して人間にも感染するようになった、ということですね。
(私)そうだ。その説が有力だね。その変異がいったいつごろ起きたのか、正確には分からないけど少なくてもアメリカでエイズ患者が発見されるよるずっと前に起きてるはずだね。
そして忘れてはいけないのが、単にサルから人間に感染するように変異しただけでなく、人間から人間へ感染するようになったということだね。
(陽介)あ~、そうですね。それってずいぶん意味合いが違いますよね。
(私)その通り。動物から人間へ感染する変異だけならまだ防ぐことはある程度可能だけど、人間から人間へ感染すると爆発的に感染者が増えるね。
(陽介)あ!それってまさに今話題になっている鳥インフルエンザのことですね?
(私)大当たり!それが言いたかったんだよ。今のところ鳥インフルエンザは人間から人間への感染は報告されていない。
だけどいつ変異して感染するようになるかも分からない。専門家もそれを一番恐れているんだ。可能性は十分あるからね。
(陽介)うーん、HIVといい、鳥インフルエンザといい、ウイルスってホントに怖いですね。
(私)確かにね。いくら医学が進歩してもウイルスの脅威はなくならないね。では今日のお話はこれでお終い。
(陽介)おじさんありがとうございました!
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補足資料
①『エマージングウイルス』マーク・J・ウォルターズ著/村山寿美子翻訳
③「サル免疫不全ウイルスの遺伝子と感染・病原性」井戸栄治・速水正憲 参照