自宅で使える検査キットでは、ろ紙に血液を吸い込ませて郵送します。たぶん、検査キット会社に届く頃には血液は乾いているはずです。そんなろ紙で血液検査なんて、ホントに出来るのでしょうか?

一般にろ紙を使った血液採取の方法をドライスポット法と呼びます。私も最初に使ったとき不思議で仕方ありませんでした。というか、不安でした。ここではろ紙でHIV抗体検査が可能な理由を私が甥っ子の陽介に説明しますから、ぜひあなたもいっしょに聞いてください。

(甥っ子陽介)おじさん、HIV検査キットって血液をろ紙に吸い込ませるんでしょう? (私)陽介、そうだよ。それはドライスポット方式といって、以前から使われている方法だよ。
陽介 私

(陽介)うーん、僕としてはどうにも合点がいかないんですけどね。

(私)どうしてだい?

(陽介)だって、保健所でも病院でもHIV検査と言えば注射器で採血するじゃないですか。そしてその血液を使ってHIVに感染しているかどうか検査しますよね?

(私)確かにそうだよ。

(陽介)でも、自宅で使えるHIV検査キットは微量の血液をろ紙に吸い取らせ、それを検査キット販売会社に送り返すじゃないですか。

(私)そうだよ。だから一般には郵送検査とも言われているね。

(陽介)その場合、ろ紙に吸い取らせた血液はたぶん乾燥してしまうと思うんですよ。郵送だと早くて1日、遠いとこからだと2日や3日はかかりますよね。

(私)そりゃそうだね。期日指定の宅配便のような訳にはいかない。恐らく陽介の言うように、検査キット会社に到着したときにはろ紙の血液は乾燥しているだろうね。だからドライスポット方式って呼ぶんだと思うよ。

(陽介)そんな乾燥してしまった血液でHIV検査なんて出来るんですか?何だか出来そうにない気がするんですけど。

(私)どうして乾燥した血液だとHIV検査が出来ないと思うんだい?

(陽介)だってHIVはとても弱いウイルスで外気に触れると死んでしまうんでしょう?乾燥したら完全に死んじゃうから検査してもウイルスが検出できないと思うんですけど。

(私)ブブブー!大外れ!

(陽介)えー!違うんですか?

(私)それは大きな大間違いだね。検査キットで検査するのはHIVというウイルスそのものを見つける検査じゃないんだよ。

(陽介)え?血液中のHIVを見つけるんじゃないんですか?

(私)ちがう、ちがう!そうじゃなくてHIVに感染してことによって体内で作られるHIV抗体を見つけるんだよ。だから「HIV抗体検査」と呼ばれているんだ。

(陽介)そうなんですか。てっきり血液中のウイルスを見つける検査かと思いました。

(私)保健所や病院でやってるHIV検査もほとんどがHIV抗体検査だよ。もしもこの検査で陽性になったら、再検査が必要になってその場合には抗体ではなくウイルスそのものを探す検査を行うんだよ。

(陽介)そうなんですか。それじゃ、HIV抗体は血液が乾燥しても消えたりしないんですか?

(私)大丈夫だよ。ろ紙に吸い取らせることで、検査に必要な成分がしっかり定着するんだよ。それを登録衛生検査所という専門機関で調べるんだ。

(陽介)乾燥した血液からどうやって検査するんですか?

(私)もちろん乾燥したままでは検査出来ないよ。おじさんも詳しくは知らないけど、ろ紙に吸い込ませた血液を血清希釈溶液で溶かして薄めたものを検査するんだよ。その中にHIV抗体が存在するかどうかを調べるんだね。

(陽介)ふーん、そうなんですか。でも、その方法で保健所や病院で行っているHIV抗体検査と同じ正確さだと言えるんですか?何だか誤判定が出そうな気がするんですけど。

(私)いやいや、心配ないよ。さっきも言ったけど、ろ紙に血液を吸い取らせて血液検査を行う方法はドライスポット方式と言って検査キット専用の方法じゃない。ずっと前からすでに使われて実績のある方法なんだよ。

(陽介)あれー、そうなんですか。てっきり検査キット専用の方法だとばかり思ってました。

(私)例えば、歯科の現場でHIVやB型肝炎、C型肝炎などの検査をするためにこのドライスポット方式が使われることがあるんだよ。

例えばこんな専用ツールも販売されている。『感染症検査用採血ろ紙 』

このろ紙は歯科でB型肝炎、C型肝炎、HIV、ATL、HTLV-I などの感染症を検査するための器具として開発されたものだ。

他にもこんな文献がネットで紹介されているよ。

『歯科診療室における院内感染予防対策』

『ろ紙を用いたドライスポット法によるHIV検査法の検討』

探せばもっと見つかると思うね。要するに血液をろ紙に吸い取らせて抗体検査を行う技術はすでに以前から存在しているんだ。

(陽介)それで保健所や病院のHIV抗体検査と信頼性は同等なんですか?

(私)そう思っていいね。例えば、先の「ろ紙を用いたドライスポット法によるHIV検査法の検討」と言う調査は厚生労働省のエイズ補助金事業の一環でね。2007年にエイズ予防財団や神奈川県衛生研究所、慶應義塾大学医学部微生物研究室が共同で調査研究を行ったんだよ。

(陽介)へぇ、どんな調査研究だったんですか?

(私)HIV陽性者の血液と、HIV陰性者の血液を使って実際にHIV検査キットと同じ方法で検査をやってみたのさ。それで正しく陰性は陰性、陽性は陽性と判定出来るかどうかを調査したんだね。

(陽介)なるほど。それで調査結果はどうだったんですか?

(私)うん、これを見てごらん。

ドライスポット法結果

陰性の血液250例を検査したところ、陰性248件、陽性2件だった。だから偽陽性率は0.8%だね。この値は保健所で行っているHIV検査とほぼ同じ値だね。

(陽介)なるほど。以前に『HIV検査の偽陽性とは?』で教えてもらいましたね。

(私)そうだったね。それから陽性の血液100例を検査したところ、全て陽性と判定したんだ。だから偽陰性はゼロだね。HIVに感染した人を見逃さず、確実に検出出来た。

(陽介)それはすごいですね!でもそうでないと検査結果に安心出来ませんよね。陰性と判定されても、もしかしたらまだHIVに感染しているかも知れない、なんて思ったら全然安心出来ないし、HIV検査を受けた意味が半減しますよね。

(私)その通りだよ。HIV検査キットでは、HIVに感染している人は確実に見つける、ただし感度が高いので0.8%の確率で本当はHIVに感染していない人まで陽性判定にしてしまうってことだね。これは保健所や病院で行っているHIV抗体検査と同等の信頼性だと言っていいと思うよ。

(陽介)分かりました。今おじさんが教えてくれた調査結果が国内のHIV検査キットメーカーにも当てはまるってことですね?

(私)例えばSTD研究所のSTDチェッカーではろ紙の血液を溶かしてPA法という方法で抗体検査を行っている。このPA法は保健所や病院でも広く一般的に使われている方法なんだよ。それも登録衛生検査所という専門機関が検査をやっているからね。

(陽介)そうなんですね。それでろ紙に血液を吸い取らせる方法でも正確な検査が可能なんですね。

(私)そうだよ。ドライスポット法とPA法の組み合わせによるHIV検査は信頼性が高いと言える。ただ、正確な検査には大事な条件があるよ。

(陽介)え?どんな条件ですか?

(私)それは十分な血液量をろ紙に吸い取らせることだ。いくら微量でいいと言っても、やはり最低限の必要量はいるからね。

ろ紙に血液を吸い取らせる

こんな感じかな。

(陽介)なるほどです。それじゃ血液量が足りない場合は正確な検査が出来ないんですね。

(私)そうだよ。ただ、STD研究所の場合は血液量が足りない場合、そのまま不確かな検査を行うのではなくいったん「検査不能」と判定するんだ。そして無料で再検査をしてくれる。ここまでしてくれると安心だよね。

(陽介)へえ、そうなんですか。それなら安心ですね。誤判定されると怖いですもんね。

(私)そうだね。だからその点は安心していいよ。でもちゃんとした検査キット販売会社を選ばないとね。全ての販売会社がSTD研究所みたいに無料で再検査をしてくれる訳じゃない。事前にしっかりチェックすることが必要だね。

(陽介)それって検査キット販売会社のホームページを見れば分かりますか?

(私)何とも微妙だね。STD研究所みたいにハッキリ明記している会社もあれば、何も書いていないところもあるよ。そこがハッキリしない会社の検査キット使わない方がいいとおじさんは思うね。だから検査キット会社を選ぶことも正確な検査の条件だね。

(陽介)はい。了解しました。

(私)では、今回のお話はこれでお終いだよ。

(陽介)おじさん、ありがとうございました。

■関連記事:この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。
『あなたの自宅でHIV検査』
『検査キット利用者は年間6万5000人以上!』

___________________________
HIV検査があなたの自宅でいつでも簡単にできます。
私が使ったときは10分で終わりました。

■STDチェッカー TypeJ(男女共用)

HIVと重複感染が最も多いのが梅毒、B型肝炎です。
重複感染すると病気の進行が早くなることがあります。
■STDチェッカー TypeO(男女共用)

HIV・梅毒・B型肝炎が同時に検査できます。

●検査の信頼性について
●利用者の声
___________________________

補足資料