HIV検査を病院で受ける場合、どんな手順で検査を受けることになるのでしょうか?私が調べたことをあなたにもお伝え致しましょう。

保健所でHIV検査を受けた人の体験記はネット上でも非常に多く公開されています。私も姉妹サイト「HIV検査完全ガイド」でその一部をご紹介しています。

『みんなの保健所HIV検査体験記』(37件の体験記をご紹介)

しかし、一般病院でHIV検査を受けた人の体験記はあまり見られません。今回は病院でHIV検査を受ける場合の一般的な手順をご紹介したいと思います。

(甥っ子陽介)おじさん、病院でHIV検査を受ける場合ってどんな感じですか? (私)陽介、検査そのものは保健所と同じようなものだけど、ちがうところもあるよ。
陽介 私

(陽介)そうなんですか。保健所のHIV検査と病院のHIV検査でどうちがうんですか?

(私)最も違うのは、保健所では無料・匿名検査なのに対して、病院では検査費が自己負担だし匿名検査はできない。(注:一部の病院では匿名でのHIV検査が可能です。)

(陽介)はい、それはよく知っています。以前に「病院でHIV検査はいくらかかるか?」というお話のときに教えてもらいました。

(私)そうだったね。保険診療じゃないから病院によって検査費用はまちまちだけど、HIV抗体検査なら3,000円から7,000円、NAT検査なら1万5,000円くらいする。

(陽介)費用がかかる、匿名検査ができない、この2点をのぞくと保健所でのHIV検査と同じですか?

(私)うん、大きくちがうのはその2点だね。

(陽介)分かりました。ところで病院でのHIV検査って、何科の病院に行けばいいんですか?

(私)真っ先にそれが問題だね。HIV検査はこんな病院で出来るよ。

●エイズ診療拠点病院

全国を8つのブロックに分け、それぞれに中心となるブロック拠点病院がある。その下に中核拠点病院がいくつかあり、更にその下に診療拠点病院がある。 ⇒補足資料①

これらの医療機関では設備も医師も揃っているし、HIV陽性だった場合のサポート体制も整っている。ただし、数が多くないので近くになかったり、患者が多くて待ち時間が長いなど利便性に問題がある。

●泌尿器科・婦人科(産婦人科)・性感染症科

当然ながらHIV感染症も性感染症の一種であり、性感染症科や泌尿器科や婦人科で検査が可能。また妊婦健診ではHIV検査は必須なので産婦人科でも検査できる。

●一般病院の内科

これはちょっと一概には言えない。HIV検査が可能な病院もあるし、出来ない病院もある。受診前に電話で確認するのがよい。1つの目安として手術を行うくらいの病院ならHIV検査は可能。(術前、術後にHIV検査を行うことが多いため)

(例えば、私は地方の小さな町に住んでいますが、自宅近くのかかりつけの内科でHIV検査は無理だと思います。むろん、外部に委託すればHIV検査そのものは可能でしょうが、検査結果の告知やその後のケアが出来ません。)

(まぁ、早い話、検査は保健所、治療は専門病院、といった感覚を病院側が持っているのです。「うちみたいな小さなクリニックにHIVやエイズは関係ない」と思っているのです。むろん、クリニックの規模によらず方針としてHIV検査を行っている医療現場もあるでしょう。結局、一概には言えないと思います。)

●皮膚科

HIVや梅毒などの性感染症は多くの場合皮膚疾患を伴う。従って皮膚科でHIV検査は可能。ただし、こちらも内科と同様で病院によってはHIV検査不可の場合もあるので事前確認が必要。

とまぁ、こんな感じかな。HIV検査をしてくれる病院、分かったかな?

(陽介)はい、おじさん。でも一般内科や皮膚科じゃHIV検査が出来る病院と出来ない病院があるんですね。

(私)そうだね。ある程度頻繁にHIV検査の需要がある病院ならともかく、ほとんどHIV検査を希望する人が来ない病院だと難しいだろうね。検査体制がないかも知れない。

(陽介)分かりました。それではHIV検査が可能な病院だと検査の手順はどうなりますか?

(私)基本は保健所と同じだよ。最初に受付があって、それから医師の問診がある。この問診が保健所とちょっと違うかな。

(陽介)どうちがうんですか?

(私)病院には医師がいるから保健所では出来ない相談も可能だね。例えば気になる症状とか、過去の病歴とか、そういったことも相談できる。問診からHIV以外の性感染症検査を勧められることもあるかも知れない。

(陽介)なるほど。それはありますね。

(私)ただしそれも病院によるね。病院によっては親切丁寧にチェックしてくれるかも知れないし、逆に事務的に処理されてしまうかも知れない。

(陽介)もしもHIV検査で陽性判定になったらどうなりますか?

(私)例えばエイズ診療の拠点病院クラスなら経験豊富なスタッフが揃っているので万全のサポートをしてくれると思うよ。だけどスタッフもいない、HIV陽性告知の経験も少ない病院だとそうはいかない。

まずHIV陽性を告知された患者の精神面のケアが必要だよね。それから今後の治療をどうするか。生活のこと、仕事のことも大事だよね。

お金の心配だって現実的だ。だから医療費の減額、免除の申請をどうするか、専門知識を持ったスタッフの支援が必要だね。更に家族、友人、会社へのカミングアウトをどうするか。こんなふうに専門家に相談したいことは山ほどあると思う。

(陽介)なるほど。そうした相談ができる専門スタッフのいる病院だといいですね。

(私)うん。そうだけどそれが可能な病院はそれほど数多くないからね。そこで厚生労働省では一般の開業医向けにHIV検査のガイドラインを作って支援しているんだ。 ⇒補足資料②

(陽介)なるほど。

(私)このガイドラインの中で、HIV検査前の問診のやり方、検査結果の告知のやり方などを示している。また、受検者に渡す必要があるドキュメント類も用意してある。

(陽介)そうなんですか。それって僕らが事前に読んでおくと病院でHIV検査を受ける時の参考になりますね。

(私)確かにね。病院でのHIV検査がどんな手順で進むのか、どんなことを聞かれるのか、言われるのかが予め分かるね。でも、そんなことを事前に知らなくてもちゃんと検査してくれるよ。

(陽介)はい。それと検査の費用なんですが、仮にスクリーニング検査で陽性だった場合、確認検査の費用はどうなりますか?やはり自己負担ですか?

(私)おじさんが調べたところでは、保険適用になるね。またHIV陽性となった場合には最初のスクリーニング検査の費用も保険適用になる場合がある。

(陽介)本当ですか?それは助かりますね。

(私)ただこの辺の判断は病院によって違うから最終的には病院に聞いて確かめないと分からないよ。原則として医師が必要と判断すれば保険適用となる。例えば何かの症状が出ているとか、他の性感染症に感染している場合だね。

単に自分でHIV感染が心配だから検査を受けておこう、という場合は全額自己負担だね。

(陽介)そうなんですね。分かりました。それからおじさん、一部の病院では保健所みたいに無料・匿名でHIV検査が受けられるって聞いたんですけどホントですか?

(私)ああ、それはAIチェックのことだね。 ⇒補足資料③

(陽介)AIチェック?何ですかそれ?

(私)AIチェックは東京都の港区が実施しているHIV検査で、港区が指定病院にHIV検査を委託しているんだ。その指定病院ではHIV検査が無料・匿名で受けられる。

しかもHIVだけでなく、梅毒、クラミジア、淋菌も検査できるんだよ。

(陽介)へぇ、それは便利な制度ですね。でも、港区だけですか?

(私)残念ながら現状では港区だけだ。AIチェックがもっと広まるといいね。

(陽介)本当にそうですね。

(私)では、今回の話をまとめておこう。病院でHIV検査を受ける場合の注意点だよ。

●HIV検査が可能な病院は、エイズ診療拠点病院、性感染症科、泌尿器科、婦人科(産婦人科)などがある病院、そして一般内科や皮膚科でも可能。ただし、内科、皮膚科ではHIV検査が出来ない病院もあるので事前確認が必要。

●原則として自主的な検査は費用が全額自己負担(3000円~7000円くらい)。ただし病院によって対応が異なるので受付で確認する。匿名検査は不可。

●HIV検査が可能な病院でも、検査結果が陽性だった場合の告知やその後の患者支援の体制が不十分な場合がある。

(陽介)こうしてみると、出来れば病院でHIV検査を受ける前にその病院の検査体制を調べておくといいですね。

(私)そうだね。なかなか情報が分からない場合もあると思うけどね。まぁ、ハッキリ言ってHIV検査を受けるなら保健所がお勧めだね。

(陽介)無料で匿名だし、専門スタッフがいますもんね。

(私)それにHIVだけでなく梅毒やクラミジアなども検査できる保健所も多いしね。ただ、すでに何かの症状が出ていたり、他の性感染症にも感染している場合には病院がいいね。どのみち病院へ行くことになる可能性が高いので初めから病院へ行った方がいい。

(陽介)了解です。

(私)では、今回の話はここまでにしよう。

(陽介)おじさん、ありがとうございました。

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補足資料

①HIV/エイズ診療拠点病院一覧(ACCホームページ)

②『開業医だからこそできるHIV即日検査』

③AIチェック(港区ホームページ)