2014年7月11日、AFP通信によると、世界保健機関(WHO)のHIV対策局、ゴットフリート・ヒルンシャル(Gottfried Hirnschall)局長が次のような談話を発表しました。

『男性の同性愛者の間にHIV感染が爆発的に広まっている!男性の同性愛者がHIVに感染する確率は全体平均の約19倍だ。』

では、日本における男性の同性愛者によるHIV感染はどうなのでしょうか?ゴットフリート局長の言うように爆発的に広まっているのでしょうか?

私が調べたことを甥っ子の陽介に説明します。あなたもごいっしょに聞いてください。

 

(甥っ子陽介)おじさん、すごく気になるニュースを見たんですけど・・・ (私)陽介、それはどんなニュースだい?言ってごらん。
陽介 私

(陽介)はい!ネットのニュースで見たんですけど、WHOの発表だと男性の同性愛者の間でHIV感染が爆発的に広がっているそうです。何でも、男性の同性愛者の感染リスクは全体平均の19倍も高いそうです。

(私)あ~、そのニュースなら私も見たよ。世界保健機関(WHO)のHIV対策局、ゴットフリート・ヒルンシャル(Gottfried Hirnschall)局長の談話だね。ネットでもかなり大きく扱われたから知ってる人も多いだろうね。

(陽介)そうなんです、そのニュースです。

(私)それで陽介はこのニュースの何が気になるんだい?

(陽介)はい、気になる点は2つあるんですよ。1つ目は、どうして男性の同性愛者の間で全体平均の19倍もの高いHIV感染確率になるのか?そして2つ目が、日本の現状ではどうなのか、この2つなんです。

(私)なるほどね。陽介が気になるのも分かるよ。それじゃ、私が知っていることを陽介に教えう。

(陽介)はいおじさんお願いします。

(私)まず、最初の気になる点だね。どうして男性の同性愛者の間にHIV感染のリスクが高くなるのか?

(陽介)はい、それを教えてください。

(私)陽介、以前に『HIV感染の確率データ』という話をしたよね。覚えているかい?

(陽介)はい、どんな行為がどのくらいの感染確率かを調べたものでしたよね。

(私)そうそう、それだ。厚生労働省の関連サイトに掲載されているね。その中で、最もHIVの感染リスクが高い性行為は何だった?

(陽介)はい。アナルセックスです。

(私)そうだ。その話のときにも言ったけど、アナルセックスはHIV感染の確率が高い。なぜなら・・・陽介、分かるかい?

(陽介)はい、覚えています。まず、妊娠の心配がないのでコンドームを使わないことが多い、それにアナルセックスは小さな傷が出来たり、出血することが多い、この2つの理由でHIV感染の確率が高くなります。

(私)その通りだ。HIVは粘膜感染が基本だから、コンドームなし、傷や出血あり、となれば当然感染しやすくなってしまう。そして、アナルセックスこそが男性の同性愛者の間で行われることが多い性行為って訳だ。

(陽介)なるほど。それで男性の同性愛者の間でHIV感染が広まってしまうのですね。

(私)そうなんだよ。だから余談になるけど、HIVだけでなく梅毒やB型肝炎なんかも同じ理由で男性の同性愛者の間で感染が多いんだ。

(陽介)なるほどです。それじゃ、日本における現状はどうなんですか?WHOの発表の通り、国内でも男性の同性愛者の間で爆発的にHIV感染が広まっているんですか?

(私)そうだね。その答えは私が作った3つのグラフを見てもらおうかな。

(陽介)どんなグラフですか?

(私)2004年から2013年までの10年間、男性の同性愛者で、

①新規HIV感染者として報告された人の件数とその全体比率(新規HIV感染者として報告された全体における男性同性愛者の割合)

②新規エイズ患者として報告された人の件数とその全体比率(新規エイズ患者として報告された全体における男性同性愛者の割合)

③①と②を合計した件数と、全体比率

以上、3つのグラフだよ。

(陽介)なるほどです。

(私)では、最初のグラフを見てみよう。

同性愛HIV
グラフ1.新規HIV感染者

これは2004年(平成16年)から2013年(平成25年)の10年間、新規HIV感染者として報告された中から、感染ルートが男性の同性愛者の性的接触によるものを表している。

これを、2004年と2013年で比べてみると・・・

●同性愛者の性的接触による新規HIV感染者の件数

2004年 468件

2013年 760件

約1.6倍に増えているね。

●同性愛者の性的接触による新規HIV感染者の全体比率

2004年 60%

2013年 70.6%

こちらは約1.2倍に増えている。

どうだい、陽介。このグラフから言えることは?

(陽介)うーん、そうですね。新規HIV感染者として報告された人の中で、感染ルートが同性愛者の性的接触は確かに増えていますね。でも、件数で1.6倍、全体比率で1.2倍だから、WHOが発表したような爆発的に増えているとは言えないと思います。

(私)そうだね。それじゃ次のグラフを見てみよう。今度は新規エイズ患者のデータだよ。

同性愛エイズ
グラフ2.新規エイズ患者

さっきと同じように2004年と2013年を比較してみよう。

●同性愛者の性的接触による新規エイズ患者の件数

2004年 141件

2013年 268件

約1.9倍に増えているね。

●同性愛者の性的接触による新規エイズ患者の全体比率

2004年 36.6%

2013年 57.1%

こちらは約1.6倍に増えている。

(陽介)新規HIV感染者の報告より、新規エイズ患者の報告の方が増え方としては大きいですね。でも報告件数が1.9倍、全体比率が1.6倍だから、爆発的に増えているとは言えないかも知れませんね。

(私)そうだね。報告件数がこの10年で約2倍、全体比率が約1.6倍というのは、決して軽く扱える結果ではないと思う。でもWHOが発表したような、男性の同性愛者の間でHIV感染が爆発的に増えている、という世界的な傾向が日本でも起きてるとは言えないと思うね。

(陽介)そうですね。でも仮に爆発的ではないにせよ、この10年で増加傾向が続いているのは大きな問題だし、対策が必要だと思います。

(私)最後に3番目のグラフを見てもらおうか。同性愛者の新規HIV感染者と新規エイズ患者を合計した報告件数と、全体比率だよ。

同性愛HIV
グラフ3.新規HIV感染者と新規エイズ患者の合計

一応、このデータも2004年と2013年を比較しておこう。

●同性愛者の性的接触による新規HIV感染者と新規エイズ患者の合計件数

2004年   609件

2013年 1,028件

約1.7倍に増えているね。

●同性愛者の性的接触による新規HIV感染者と新規エイズ患者の合計の全体比率

2004年 52.3%

2013年 66.5%

こちらは約1.3倍に増えている。

(陽介)最後におじさん、僕もうひとつ疑問があるんですけど。

(私)ほう、どんな疑問だい?

(陽介)今見せてもらったデータって、実際に厚生労働省で把握できてる件数ですよね。だとすると、HIV感染者は実際には検査受けていない人も大勢いると思うんですよ。

(私)むろん、全ての日本国民が全員HIV検査を受けてる訳じゃないからね。HIVに感染していながらHIV検査を受けていない人は必ずいると思うよ。

(陽介)ですよね。そうすると実際のHIV感染者って、まだまだ多いってことですよね?

(私)そうなるね。でもそれは以前、『HIV感染者は10倍も多いってホント?』という話の時にも説明したよね。確かにHIV感染者は潜在的感染者がいて、実態はもっと多いはずだね。

しかし、エイズ患者となるとそうじゃない。日本の医療環境を考えると、エイズを発症したのに病院へ行かない、行けない人はいないだろう。だから新規エイズ患者はかなり正確に実態を反映していると思う。

(陽介)あ~、確かにそんなお話を聞かせてもらいましたね。

(私)潜在的HIV感染者については、もう一度以前の話を思い返してごらん。

(陽介)分かりました。それじゃおじさん、今回のお話のまとめをお願いします。

(私)そうだね。まず、男性同性愛者の間でHIV感染者が多いのは日本も世界も同じだ。それはアナルセックスがHIV感染のリスクが高い行為であるためだ。

そしてWHOによれば、男性同性愛者の間ではHIV感染が爆発的に増加しているらしい。日本国内でも過去10年のデータを見ると、確かに増加傾向にはあるけど爆発的まではいってない。

しかし、男性同性愛者の間でHIV感染者が増えているのは間違いないので、HIV感染予防、HIV検査の啓蒙活動を行うことは大事だと思うね。

(陽介)分かりました。今日はどうもありがとうございました。

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