HIVが突然変異によってサルやチンパンジーから人間にも感染するようになったことはよく知られています。一方、私たち人間の中にも遺伝子変異によってHIVに感染してもエイズを発症しない人がいます。

遺伝子変異と言う全く目には見えない世界で何が起こっているのか、それを甥っ子の陽介に話したいと思います。あなたもぜひいっしょに聞いて下さい。

(甥っ子陽介)おじさん、今日はどんなお話ですか? (私)陽介、今日は遺伝子の突然変異の話だよ。
陽介 私

(陽介)え?遺伝子の突然変異?いったい何の話ですか?

(私)HIVの遺伝子と人間の遺伝子が突然変異をしたって話だよ。

(陽介)ふ~ん、何だか面白そうなお話ですね。

(私)実は私はつい最近、こんな本を読んだんだよ。

『感染症の世界史』 石弘之 洋泉社 ¥2,400+税 2014年

この本の中にHIVに関する章があって、HIVと人間の遺伝子変異のことが書かれてある。それがとても興味深い話だった。それで陽介にも話してあげようと思ってね。

◇HIVは突然変異で人間に感染するようになった

(陽介)そうなんですか。それはぜひ聞きたいですね。でも、HIVの遺伝子変異って、前に2回話をしてくれましたよね。

「HIVにワクチンがないのはなぜ?」って話と、「HIVはどこからやってきた?」って話でした。

(私)うん、そうだったね。前の話はなぜHIV感染症の治療が難しいのか、それはHIVと言うウイルスが容易に変異を繰り返し、せっかく開発した薬もすぐに効かなくなってしまうと言う内容だった。

後の話は、最初はチンパンジーに感染していたSIVと言うウイルスが突然変異によって人間にも感染するようになり、それがHIVと名付けられたって話だったね。

(陽介)はい、そうでした。

(私)さっき紹介した本によると、人間の遺伝子情報を持つDNAは構造上2本の鎖から出来ている。2本のうちどちらか1本が増殖のコピー中に破損しても、もう片方によって破損した部分が修復されて安定的に遺伝子情報が保存されるらしい。

(陽介)へぇ~、そうなんですか。

(私)ところがHIVはRNA型ウイルスと呼ばれ、遺伝子はRNAしか持ってない。そしてRNAは1本だけの鎖構造なので破損しても修復することが出来ず、変異を起こしやすいんだよ。

(陽介)それでワクチンも作りにくいんですね。

(私)その通りだよ。つまり、HIVと言うウイルスは突然変異によって人間に感染するようになり、その後も非常に変異をしやすい特性を持っているので治療が難しいってことだね。これがHIVの突然変異だよ。

 

◇人間もまた突然変異によって・・・

(陽介)なるほど。それじゃおじさん、人間の突然変異って何ですか?

(私)うん、それはねHIVに感染してもエイズを発症しない人がいて、この人たちを調べてみると免疫に関与するたんぱく質の遺伝子が変異していることが分かったんだよ。それはどうも突然変異によるものらしい。

(陽介)すると突然変異で人間に感染するようになったHIVに対して、突然変異でHIVに感染してもエイズにならない人間も登場したって訳ですか。

(私)そう言うことになるね。

(陽介)でもおじさん、その人間の突然変異ってどうやって起こったんですか?

(私)まず、人に起こった変異とは、

「HIVが宿主の細胞に入り込む時に必要なCCR5と言う受容体(レセプター)を作る遺伝子が欠けている。」

と言う変異なんだよ。

(陽介)う~ん、話が難しいですね。

(私)よく例えに使われるのが、CCR5は宿主細胞に入るためのカギ穴で、HIVはこのかぎ穴に合うカギを持っている。それで細胞内に侵入し、自分のコピーを作ると同時に侵入した細胞を破壊していく。

しかもその細胞が免疫細胞なので、HIVが感染して増殖すると免疫力がどんどん低下する。そのまま放置していると色んな日和見感染症を発症してエイズになってしまう。

ところが最初からCCR5と言うかぎ穴を持たない人がいるんだよ。かぎ穴がないからHIVは細胞内に侵入することが出来ず、増殖することも免疫細胞を破壊することも出来ない。

(陽介)だからエイズになることもないって訳ですね。

(私)そうなんだよ。さっきの本によれば、世界人口の300人に1人の割合で、そうしたエイズにならない人がいるらしい。

(陽介)おじさん、それは前に話してくれた「エリートコントローラーとは?」に出てくる人たちですね。

(私)そうそう、その通り。私が本を読んで理解した範囲ではそうだと思う。こうした人たちはアフリカ、東アジア、北米先住民の間には極めて少なく、逆に西ヨーロッパでは人口の8%~12%、北ヨーロッパでは18%、ロシアでは16%と非常に多く存在することが分かってきたらしい。

(陽介)う~ん、それってなぜでしょうか?

(私)本の中の説明によると、私たちの祖先がアフリカを出てヨーロッパに移動した後にCCR5が欠けると言う突然変異が起きたらしい。

そして、その後ヨーロッパに天然痘とペストが何度か大流行し、多くの死者が出た。実は天然痘ウイルスもHIVと同じCCR5と言うかぎ穴を使って感染する。だから生まれつきCCR5が欠けている人は天然痘の大流行にも生き残ったんだね。

ペストもまた遺伝子に変異をもたらした可能性があり、ペストがより流行した土地にHIVに耐性を持つ人が多いことが分かってきたそうだ。

(陽介)なるほど。つまり天然痘やペストの大流行でも生き残った人たちはHIVに対しても耐性を持っていたという訳ですね。

(私)その通り。だから西ヨーロッパ、北ヨーロッパ、ロシアなどで耐性人間が多いって訳だ。

(陽介)残念ながら日本人にはいないんですね。

(私)う~ん、全くいないのかどうか分からないけど、さっきの本によれば極めて少ないと言うことだね。

(陽介)しかし、CCR5がないとHIVは細胞に侵入出来ず、増殖も出来ないんですよね?だったらこれを利用して治療薬が出来ないもんですかね?

(私)うん、それならすでに開発されて実用化されている。CCR5阻害薬と呼ばれているね。「エイズの治療に使う薬とは?」って言う話を思い出して欲しいな。

(陽介)はぁ、そう言われればそんな話もありましたね。すっかり忘れてました。

(私)さて、以上が今回の話だよ。HIVは突然変異によってサルから人間に感染するようになり、一方人間の中にも突然変異によってHIVに感染してもエイズにならない人が登場したって話だね。

特別覚えておく必要のある話じゃないけど、でも興味深いよね。

(陽介)はい、僕もそう思います。おじさん、どうもありがとうございました。

(私)それじゃ今回の話はこれで終わりにしよう。

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