8月11日に、厚生労働省エイズ動向委員会より平成26年(2014年)のエイズ動向が発表されました。その中で、新規HIV感染者に1件、新規エイズ患者に1件、それぞれ母子感染による感染ルートが含まれていました。

出産前にHIV感染が見つかっていれば母子感染の確率は0.5%未満と言われているのに、どうして母子感染が発生したのでしょうか?

私の調べたことを甥っ子の陽介に話しますので、ぜひあなたもいっしょに聞いて下さい。

(甥っ子陽介)おじさん、去年はHIVの母子感染が2件発生したんですね? (私)陽介、その通りだよ。出産前にHIV感染が分かっていれば防げたかも知れないね。
陽介 私

(陽介)母親がHIVに感染している場合、生まれてくる子供がHIVに感染する確率ってどのくらいなんですか?

(私)うん、私が色んな専門書や医療サイトを調べたところ、母親が何も治療せずに出産した場合15%~35%と言われている。

(陽介)かなり高い確率ですね。

(私)そうだね。しかし出産前の妊婦健診などで母親のHIV感染が分かっていれば、母親に対して抗HIV治療を行い、また出産時に産道感染を防ぐなどの処理を行うことで、感染確率を0.5%未満に抑えることが出来るんだよ。(HIV検査相談マップ参照)

(陽介)35%が0.5%まで下がるんですか。それはすごいですね。

(私)うん、そうだね。

(陽介)でも、平成26年には2件の母子感染が起きてるんですよね?

(私)その通り。厚生労働省エイズ動向委員会のデータでは、新規HIV感染者で1件、新規エイズ患者で1件、それぞれ母子感染が報告されている。⇒補足資料①

(陽介)それって、わずか0.5%の確率でHIVの母子感染が起きたってことですか?

(私)いや、エイズ動向委員会のデータには詳しい経過は報告されていない。ただ母子感染が報告されたとあるだけで、母親がHIV感染者であることが事前に分かっていたのかどうか、それは定かでない。

(陽介)でも母親が治療を受けていれば感染確率はわずか0.5%だから、恐らく事前にHIVに感染していることは分かっていなかったんでしょうね。

(私)う~ん、数字からだけで言えばその可能性が大だけど、0.5%でもゼロではないから、何とも言えないね。

(陽介)去年は2件の母子感染でしたが、それより前はどんな感じなんですか?

(私)そうだね、もう少しデータを遡ってみてみよう。

●平成26年(2014年) 2件

●平成25年(2013年) 1件

●平成24年(2012年) 0件

●平成23年(2011年) 0件

●平成22年(2010年) 3件

こんな感じだね。

(陽介)そうなんですね。それじゃおじさん、もしもこの母子感染が、事前に母親がHIV感染者だと分からなかったせいだとすると、その原因はなんでしょうか?

(私)母親がHIV感染者だと分からなかった原因?それはどういう意味かな?

(陽介)だっておじさん、僕の知ってる限り妊娠した女性は妊婦健診を受けるじゃないですか。妊婦健診にはHIV検査も含まれるのが普通でしょう?

(私)まぁ、普通というか、厚生労働省のガイドラインには「標準的な妊婦健診の例」としてHIV抗体検査も入ってるね。

(陽介)そうですよね。すると、もしも母親がHIVに感染しているのにそれが分からなかったとすると妊婦健診を受けていなかったんでしょうか。

(私)う~ん、その可能性はあるね。でも、もしかしたら妊婦健診で陰性になった後にHIVに感染した可能性だってゼロとは言えないね。厚生労働省のガイドランではHIV抗体検査は妊娠初期に1回となってるからね。

(陽介)なるほど、そういう可能性もあるんですね。

(私)でも、母親が妊婦健診を受けず、「飛び込み出産」する場合もある。母子感染はこのケースかも知れない。

(陽介)「飛び込み出産」って何ですか?

(私)妊娠しても妊婦健診などを受けず、掛かりつけの産婦人科もないまま、いよいよ産気づいて医療機関に文字通り飛び込んで出産することだよ。

(陽介)うわ、それは危ないですね!飛び込み出産って、年間に何件くらいあるんですか?

(私)私が調べたところ、全国的な調査は見つからなかった。ただ、大阪府の例では年間に300人を超えるらしい。(2012年度大阪産婦人科医会調査)

(陽介)大阪府だけで年間300人以上ですか。それじゃ全国的には何千人もいるかも知れませんね。

(私)そうだね。

(陽介)でも、飛び込み出産する人達はなぜ妊婦健診を受けないんでしょうか?

(私)それは個人の理由が色々あるんだろうね。ひとつ言われているのが経済的な理由だね。これは時々社会面のニュースに出てくる。

(陽介)お金がかかるので妊婦健診が受けられないってことですか?

(私)そうだよ。妊娠は病気じゃないとの理由で健康保険が使えない。全額自己負担なんだよ。

(陽介)え~!この少子化対策が言われてる時代に、全額自己負担なんですか?国は何とか補助金出したり出来ないんですかね?

(私)いやいや、むろん国からは補助金が出ているんだよ。妊婦健診は妊娠から出産まで14回受けるのがいいとされているんだけど、これを全部受けると総額では10万円を超すケースが多い。だから国も補助金を出してる。

(陽介)いくら出してるんですか?

(私)それがね、地方自治体によって補助金はまちまちなんだよ。どこでも同じ金額という訳ではない。例えば・・・

●都道府県別の平均額

・青森県  ¥118,920(最高)

・神奈川県 ¥ 64,319(最低)

●人口20万人以上の都市での補助金額

・大阪府高槻市   ¥120,000(最高)

・神奈川県相模原市 ¥ 64,000(最低)

情報源はこちら⇒妊婦健診:公費負担に地域格差』

注)調査年度、メディアによってかなり結果が異なります。あくまで上記ソースによる情報です。

(陽介)うわぁ~!おじさん、これって2倍近い差がありますよ!どうしてこんなに補助金に差があるんですか?

(私)それはね、国からの補助金の一部が地方交付税の形で自治体に支給されているため、その運用が自治体ごとに異なるからだよ。早い話、財政難の自治体は他の用途に使ってしまう訳だね。

(陽介)え~!そんなのアリですか?

(私)だから完全無料の自治体もあれば、かなり大きな負担をしなくちゃいけない自治体もある。それに補助のやり方も自治体で異なるんだよ。最初に補助券を支給してくれるところもあれば、いったん本人が負担して後から支給される自治体もある。

(陽介)そうなんですか・・・。後から支給されると言っても、いったんは全額自己負担となるときついですね。

(私)そうだね。こうした妊婦健診の費用格差は大きな問題となっていて、国としては妊婦健診14回分を各自治体が補助するよう求めてるんだよ。

(陽介)妊婦健診で検査しなくちゃいけないのはHIVだけじゃないですよね。安心して赤ちゃんを産むために妊婦健診、みんなが受けられるようにして欲しいですね。

(私)本当にそうだね。それで飛び込み出産がゼロになって欲しいね。

(陽介)そして飛び込み出産が原因のHIV母子感染も無くなって欲しいです。

(私)それじゃ今日の話はここまでにしよう。

(陽介)おじさん、ありがとうございました。

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補足資料

①平成26年エイズ動向(姉妹サイト:エイズ検査完全ガイド・厚生労働省エイズ動向委員会資料から)