HIV感染症の免疫力低下によって発症する皮膚疾患の1つに帯状疱疹があります。
私も帯状疱疹がきっかけで自分のHIV感染を疑いました。
でも、一般には帯状疱疹ってあまり詳しくは知られていないと思います。
ここで私が甥っ子の慎太郎に帯状疱疹について説明しますから、あなたもいっしょに聞いてください。
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(甥っ子慎太郎)おじさん、帯状疱疹について詳しく教えてください。 |
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(私)慎太郎、おじさんも帯状疱疹になったことがあるよ。 |
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(慎太郎)えー!、おじさんも帯状疱疹の経験者なんですか?
(私)そうなんだよ。もう何年も前だけどね。
(慎太郎)どんな症状が出るんですか?
(私)そうだね。写真を見てもらうのが一番分かりやすいね。ちょっとこの写真を見てごらん。
ちょうどおじさんもこの写真と全く同じような場所に、同じような発疹が出たよ。
(慎太郎)うわ~!見ただけで痛いそうだし、かゆい感じがしますね。
(私)アハハハ、その通り!痛くてかゆいんだよ。でも、この写真はまだマシな方だよ。もっとひどくなるからね。
(慎太郎)おじさんの場合、どんなふうに症状が出てきたんですか?
(私)それがね、最初は左の肩から首にかけて痛みが出たんだ。おじさんはてっきり寝違えたか何かで痛いんだろうと思って湿布を貼ったんだ。筋肉痛だと思った。
(慎太郎)え、湿布?それってえらいカン違いですね。かゆみとか、発疹とかなかったんですか?
(私)うん、最初はかゆみより痛みが出たんだ。ヒリヒリする感じだったな。
でも、当然ながら湿布しても治るはずがない。だんだん発疹が出てきた。
それでおじさんは湿布まけかと思ったんだ。湿布をずっと貼ったままにしてあったからね。
(慎太郎)あ~なるほど。そう思うのも分かります。
(私)それで湿布を貼るのを止めて様子を見ることにしたんだ。
そしたらどんどん発疹が増えてきて、痛いやらかゆいやら。さすがにこれはどうも変だと思い始めた。
(慎太郎)それでどうしたんですか?
(私)皮膚科の病院に行ったよ。そしたら一発で「帯状疱疹です」って言われた。
(慎太郎)病院に行ってすぐに治ったんですか?
(私)うーん、それでも治るのに2週間くらいかかったかな。飲み薬と塗り薬をもらったよ。
(慎太郎)そうなんですか。それじゃ、おじさんの場合は発疹が出て、痛みがあったり、かゆみがあったりしたんですね。
(私)そうだね。発疹は小さい水ぶくれみたいになって最後は破れて治ったね。
でも、人によっては熱が出たり頭痛がしたり、リンパ腺が腫れたりもするんだよ。
それから帯状疱疹に特徴的なのは、必ず体の左半分か、右半分のどちらかに症状が出るってことだね。
おじさんの場合は左半分に症状が出たよ。
(慎太郎)え~!それって面白いですね。なぜ体の半分にしか症状が出ないんですか?
(私)帯状疱疹の原因になっているウイルスが体の神経節という場所に隠れているからだよ。
ここには神経が集まっていて、ウイルスは神経に沿って皮膚まで達するんだよ。
その神経が体の左右で別々になっているので、どちらか片側にだけ症状が出るって訳だね。
(慎太郎)ふ~ん、面白いというか、不思議ですね。
でも帯状疱疹だと分かりやすい目印にもなりますね。
ところでおじさん、帯状疱疹のウイルスって、どんなウイルスなんですか?
(私)うん、それはVZV(varicella zoster virus)というヘルペスウイルスの仲間だよ。
(慎太郎)VZV?ヘルペスウイルス?わー、何だか怖そうな名前ですね。
(私)アハハハ、そうだね。でも、誰でもなじみのあるウイルスなんだよ。
VZVは子供のころにかかる水痘(水ぼうそう)のウイルスなんだよ。
(慎太郎)あれ、そうなんですか!僕も小さいころ水ぼうそうにはかかりましたよ。
(私)そうだろうね。たいていの子供は1、2歳から遅くても9歳くらいまでには感染して発症するんだ。
(慎太郎)それじゃおじさんは?子供のころには感染しなかったんですか?
(私)いやいや、おじさんもかかっているよ。水ぼうそうはたいてい一度発症すると二度は発症しない。
(慎太郎)そうですよね。僕も誰かにそう教えてもらった記憶があります。
(私)ただし、発症しないと言っても一度感染したウイルスは完全に体からいなくなる訳じゃない、症状は出なくても体内に潜んでいるんだよ。さっき言った神経節に隠れてる。
(慎太郎)あちゃー!そうなんですか!それじゃ僕の体内にもまだその怖いウイルスが住み着いてるんですか?
(私)アハハハ、その通りだよ。でも、そんなに心配しなくてもいいよ。普通に健康な人なら免疫力がウイルスを抑え込んでいるから何も症状は出ない。
(慎太郎)そうなんですか。あ~よかった。でも、おじさんは帯状疱疹になったんでしょう?
(私)そうだね。あの頃は仕事が忙しくて睡眠時間も十分ではなかったし、休みも取れなくて疲れていたからね。
そんな体調の悪い状態が続いて免疫力が低下していたんだと思うよ。
(慎太郎)そうなんですか。それじゃ、子供のときに感染したら水ぼうそうで、大人になって再発したら帯状疱疹って訳ですね。
(私)そうそう、そういうことだね。
(慎太郎)でも、大人になって帯状疱疹になる人はどのくらいいるんですか?
(私)うん、正確なデータは知らないけど日本人の場合10%から20%が帯状疱疹を発症すると書いた記事を読んだことがあるよ。
(慎太郎)そうなんですか。それじゃ珍しくも何ともない病気なんですね。
(私)確かにそうだね。おじさんが前に厚生労働省のデータを調べてみたら、1ヶ月間に帯状疱疹の治療で病院に行く人は約4万5000人だと書いてあったよ。⇒補足資料①
(慎太郎)そうなんですか。すると年間では45万人以上が帯状疱疹になってることになりますね。
(私)うーん、単純計算ではそうだけど実際にはどうかな。でも、それに近い数字かも知れないね。
(慎太郎)そうですね。それからおじさん、帯状疱疹はHIV感染症にも関係があるんでしょう?
(私)その通り!さっきも言ったけど大人になって免疫力が低下すると、大人しくしていたウイルスが暴れ出して発症するんだ。
免疫力が低下する原因は色々あるけど、その1つがHIV感染症なんだよ。
(慎太郎)それじゃ帯状疱疹になったらHIV感染を疑った方がいいんですか?
(私)いや、そう過敏にならなくてもいいよ。今の日本では1年間に新しくHIVに感染する人は約1500人くらいいる。
それに対して帯状疱疹の患者はさっきも言ったけど年間に45万人くらいいるからね。
(慎太郎)そうでしたね。それにHIV感染者が全員帯状疱疹になる訳でもないですよね。
(私)むろんそうだね。仮にHIV感染者の10%が帯状疱疹になったとして、年間に1500人×0.1=150人。つまり、
45万人のうちの150人がHIV感染者って計算だね。確率で言えば0.033%だね。
(慎太郎)な~んだ、あんまり心配する必要はないですね。
(私)おいおい、あんまり無関心、無警戒も危ないよ。普通に考えればそれほど心配する必要はないけど、慎太郎みたいに日頃から素行の怪しい人は帯状疱疹になったら要注意だね。
(慎太郎)え~、おじさん、それはひどいですよ!僕、そんなに素行怪しくないですよ!
(私)アハハハ、冗談だよ。でも、確かにHIV感染と帯状疱疹に関連があるのは間違いないんだ。
だからそれなりに心当たりのある人はHIV検査を受けておいた方がいいね。
(慎太郎)それって皮膚科で診察した医師がHIV検査をしてくれないんですか?
(私)まず、HIV検査はしないと思うよ。おじさんの場合も全くそんな話はなかったね。
だけど慎太郎が言うように、医師がHIV感染を疑って検査を勧めることは大事だね。
(慎太郎)だってエイズ発症前に見つかれば薬でエイズを防ぐことが出来るんでしょう?
(私)そうだよ。だからおじさんが色々とエイズの専門書を読んでみると、エイズ治療の専門家は一般の皮膚科の医師にもっとHIV感染を疑って欲しいと書いているね。
(慎太郎)医者が医者に注文を出している訳ですね。
(私)そうだね。HIV感染症は患者の90%に何らかの皮膚疾患が出ると言われているんだ。
だから専門家が皮膚科の医師にそう言うのも分かるね。
(慎太郎)それじゃ皮膚科の先生がHIV検査を勧めなかったとしても、自分でHIV検査を受けた方がいいですね。
(私)その通りだよ。保健所に行けば無料、匿名で検査してくれる、最近は即日検査が増えて1時間くらいで検査結果も分かるしね。
ぜひ保健所に行ってHIV検査を受けて欲しいね。
(慎太郎)分かりました。それじゃ最後に帯状疱疹について、おじさんに教えてもらったことを復唱しますね。
●帯状疱疹はVZV(varicella zoster virus)というヘルペスウイルスが原因で発症する。VZVは子供がかかる水ぼうそうのウイルスで、大人になっても神経節の中に隠れている。
●普段は免疫細胞によって活動が抑えられているが、免疫力が低下したときに暴れ出して帯状疱疹を発症する。HIV感染症による免疫低下も原因の1つである。
●帯状疱疹は体の左か右の半分に症状が出るのが特徴。
●ヒリヒリするような痛みかあり赤い発疹が出て水ぶくれになる。熱が出た頭痛がしたり、リンパ節が腫れることもある。
●皮膚科で治療してもらえば3週間程度で治る。
●皮膚科の医師がHIV感染まで疑うことはまれであり、感染の心当たりがあれば自分で保健所に行ってHIV検査を受ける。
こんなところですかね?
(私)うん、そんなところだね。では今回はこれでお終い。
(慎太郎)おじさん、ありがとうございました。
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補足資料
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