HIV検査はいつごろ、どんな背景で始まったのでしょうか。その目的は何でしょうか?

 

(陽介)おじさんHIV検査って、いつごろから始まったの? (私)陽介いい質問だね。ついでにHIV検査の歴史と目的を教えてあげよう。
陽介 私


(陽介)おじさんHIV検査って、保健所で無料でしかも匿名で検査できますよね。これって、いつ頃から始まったのですか?

(私)HIV検査の前に、エイズそのものが登場したのはいつか知ってるかい?

(陽介)確か1980年代のアメリカでしょう?

(私)その通り。1981年にアメリカで免疫不全を起こす奇病として報告されたのが初めてとされているね。最初は病気の原因も分からず、それがHIVによる免疫不全だと分かったのが1984年なんだよ。そしてその年にアメリカのギャロ博士らによってHIV抗体検査の方法が開発されたんだ。

(陽介)日本ではいつからHIV検査ができるようになったの?

(私)日本では1986年にHIV抗体検査キットの製造認可がおりているね。同じ年に献血で集めた血液の全数検査が始まっている。1987年の記録によると、8,217,340人が献血をして、その中から11人のHIV抗体陽性者が見つかったそうだ。⇒補足資料参照

(陽介)保健所ではどうなの?

(私)うん、それがね正確な記録が見つからないんだよ。1988年までに保健所でHIV検査を受けた人が累計で47,470人だったというのは分かっているんだけど、いつから始まったのかは分からない。⇒補足資料参照

たぶん、献血の全数検査が始まった1986年には保健所でも検査が始まっていたと思うよ。ただ、今みたいな無料・匿名といった仕組みではなかったと思うけどね。

(陽介)おじさん、HIV検査ってそもそもどうやって感染を見つけるの?

(私)HIVに感染しているかどうかを見つけるには色んな検査の方法があるんだよ。一番最初に見つかった方法は「HIV抗体」を見つける方法だ。HIVに限らず、人は病原菌に感染すると抗体ができる。つまり抗体が血液中に存在するってことは病原菌に感染したってことだね。

(陽介)ふーん、そうなんだ。僕はてっきり血液中のHIVを見つけるのかと思った。

(私)陽介の言うようにHIVを直接見つける検査方法も開発されたんだよ。それが抗原検査やNAT検査と呼ばれている方法だよ。これらはHIVの一部であるタンパク質を見つけたり、遺伝子を見つけたりするんだ。

(陽介)それって抗体検査とはどうちがうの?

(私)一番違う点は早期の検査が可能になるってことだね。抗体検査は文字通り「抗体」を見つける検査なんだけど、人間の体ってウイルスに感染してもすぐには抗体が作れないんだよ。HIV抗体だと2ヶ月から3ヶ月かかるとされている。それが抗原検査やNAT検査だともっと早く検査が可能になるんだ。

(陽介)早期に検査が出来るとなにかメリットがあるの?

(私)大ありだね。例えば献血で集めた血液にHIVに感染した血液が混じっていたら大変だよね。その血液が輸血に使われると非常に高い確率で血液感染してしまう。だから献血で集めた血液は全数検査している。

だけどHIV抗体検査だと、感染してから抗体ができるまで3ヶ月かかるんだよね。もしも抗体が出来るまでに献血を受けることがあれば、その血液は検査をすり抜けてしまう可能性があるんだよ。

だけどNAT検査だと感染してから22日目には検査可能だと言われている。これで血液感染のリスクをかなり小さくできるんだよ。⇒補足資料参照

(陽介)それでも22日間は検査できないの?それじゃ血液感染の可能性はゼロじゃないね。

(私)その通りだよ。だから血液センターではHIV検査代わりの献血は禁止しているし、感染の可能性があるような人も献血をしないよう呼びかけている。⇒補足資料参照

(陽介)おじさん他にもHIV検査で大事なことってない?

(私)そうだね。HIV検査の基本というか、目的というか、何のためにHIV検査を行っているのか、それを知ってもらうことかな。

(陽介)それってHIVに感染してたらすぐに治療を受ける必要があるからでしょう?

(私)むろんそうだね。でも、それだけじゃないよ。HIV検査を受けてHIVに感染していることが分かれば本人の治療は無論だけど、他の人への二次感染を防ぐことが出来る。このメリットも大きいね。

(陽介)そうか!HIVに感染しても自覚症状がないから、知らない間に他の人にもうつしちゃう危険があるんだね。

(私)そうだよ。エイズを発症してしまったら別だけど、HIVに感染しても無症候期間は本人にも周囲の人にも分からないからね。それにHIVに感染していることが分かれば薬によって体内のHIVを減らすことが出来るんだよ。するとHIVの感染力も弱くなっていく。これも社会全体で見ればHIV感染予防になるよね。

(陽介)それじゃHIV検査は本人の為でもあるし、身近な相手の為でもあるし、社会の為でもあるって訳だね。

(私)その通りだ。だから全国の保健所では無料・匿名でHIV検査を行い、一人でも多くの人にHIV検査を受けてもらおうとしているんだよ。

(陽介)おじさんよく分かりました。

(私)それじゃさっそく、陽介もHIV検査に行ってみたら?かなり危ないことやってるウワサも聞いてるし!」

(陽介)ドキ!了解です!来週にでも保健所でHIV検査を受けてきます!

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補足資料

●献血におけるHIV陽性件数

●保健所におけるHIV抗体検査数

●保健所におけるHIV抗体検査数(最新版)

●血液センターにおけるNAT検査

●献血が出来ないケース